【プランナー監修】戸建てのスケルトンリノベーション。新築との違いや注意点は?
間取りを大きく変えたり、断熱や耐震性能を高めるために必要な「スケルトンリノベーション」。スケルトンリノベーションでは内壁を取り払い、建物を骨組みに近い状態にして工事を行います。今回はスケルトンリノベーションでできることや注意点、実際の事例についてリノベーションのプロに聞きました。

一級建築士、スタイル工房チーフプランナー 鈴木
お施主様と綿密なコミュニケーションを取りながら問題を解決、マンション・戸建て共に数多くのリノベーションに携わってきた。
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目次
- スケルトンリノベーションとは?新築との違いはどこにある?
- スケルトンリノベーションをする際に注意すべきポイントは?
- 戸建てのスケルトンリノベーション事例① LDKを2階に移動
- 戸建てのスケルトンリノベーション事例② 1階に吹抜けを新設
- 戸建てのスケルトンリノベーション事例③ 実家を二世帯住宅に
- まとめ
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スケルトンリノベーションとは?新築との違いはどこにある?
スケルトンにして、住まいを一から見直す
スケルトンリノベーションとは、内壁などを取り払い、建物の構造が見える状態にしてから、間取りや設備などをつくり直す工事のこと。普段は壁の中に隠れている部分まで確認できるため、構造的に気になる部分や、図面と現況が違う場所などを見つけて、必要な補修・補強を行える点が特徴です。
「フルスケルトンにしたときに多くのお客様がおっしゃるのが『構造的に怪しいところは見て、直してほしい』ということ。実際に、解体してみると図面と違っているようなケースもあります。チェックして正しいかたちに直せるのが、フルスケルトンにするメリットですね」と鈴木プランナー。
さらに、断熱改修についても床・壁・天井の内部まで確認しながら性能を上げられます。既存の建物を活かしながら、これからの暮らしに合わせて住まい全体を見直せるのが、スケルトンリノベーションの魅力です。
間取りの自由度は高い。ただし構造による制約も
戸建てはマンションに比べて間取りの自由度が高く、建物の強度を保てるのであれば、さまざまな変更が可能です。例えば、LDKを別の階へ移したり、吹抜けを新設したりと、住まいの構成そのものを変えられます。
一方で、スケルトンにすれば何でも自由に変更できるわけではありません。既存の構造をベースにするため、安全を担保するために動かせない部分があったり、工法によっては大きな制約を受けることも。
特に注意したいのが、ハウスメーカーなどが独自の規格で建てた「型式適合認定住宅」。構造の検証方法が独自のものであるため、建てたハウスメーカーにしかリノベーションできない場合もあります。まずはご自身で確認するか、リノベーション会社に確認してもらうようにしましょう。
新築とスケルトンリノベーションの違いは?
「リノベーションで十分?それとも、建て替えが必要?」…築年数が古くなってくると、このようなお悩みをもつ方もいるかもしれません。
建物の状態に問題がなく、既存の構造を活かしながら暮らしやすくしたいのであれば、スケルトンリノベーションは有力な選択肢です。一方で、既存の構造では希望を叶えるのが難しい場合や、制約を受けずに一から住まいをつくりたい場合は、建て替えも含めて検討することになるでしょう。
▼リノベーションと建て替えの違いについて、詳しくはこちらもどうぞ
https://www.stylekoubou.com/blog/kiso/283650/
スケルトンリノベーションをする際に注意すべきポイントは?
スケルトンにすると、新築時の性能評価はそのままではない?
スケルトンリノベーションでは、既存住宅が新築時に取得していた性能評価の扱いに注意が必要です。例えば耐震等級を取得している住宅でも、フルスケルトンにして構造を動かすと、その評価をそのまま引き継げるわけではないのです。
「耐震等級のある物件の場合、フルスケルトンにしてその構造を動かしてしまうと、その評価は適用されなくなります。リノベーション後の建物で断熱等級や耐震等級を取得したい場合は、改めて第三者機関に審査を申請し、性能評価書を取得する必要があります」と鈴木プランナー。取得には、費用と時間がかかり必ずしも再取得できるわけではありません。
スケルトン工事を伴う大規模なリノベーションでは、既存住宅の性能はもちろん、リノベーションによってその性能評価にどのような影響があるのかも事前に確認しておきましょう。特に、将来的な売却なども考えている場合は、性能に関する書類や評価がどうなるのかも含めて検討するのがおすすめです。
階段や屋根の変更は、建築確認申請が必要になることも
戸建てのスケルトンリノベーションで忘れてはいけないのが、建築基準法上の手続きです。構造に関わる工事を行う場合は、変更する範囲によって建築確認申請が必要になることがあります。
「2025年4月に建築基準法が改正され、木造2階建ての戸建て住宅などで大規模な修繕・模様替えを行う場合、建築確認手続きが必要になりました。主要構造部である壁、柱、床、はり、屋根、階段のひとつ以上で半分を超える改修工事などが対象です」
戸建てのスケルトンリノベーションでは、希望する間取りが実現できるかだけでなく、どんな申請が必要になるのかも重要なポイントです。ここからは、実際にスケルトンリノベーションで間取りや性能をガラリと変えた例を見てみましょう。
戸建てのスケルトンリノベーション事例① LDKを2階に移動
【築25年|リノベーション面積 約72㎡】

築25年の木造戸建てで、1階にあったLDKを2階へ移動した例です。
もともとは1階のLDKが隣家との距離が近く、窓を開けにくいことに加え、冬の寒さや結露にもお悩みでした。一方で2階は3部屋に分かれていたものの、寝室以外はほとんど使われていない状態。
そこで、住まい全体の使い方を見直し、2階の3部屋をつなげて大きなLDKとしました。

さらに、眺望のよい2階にはオープンデッキを新設。
LDKから直接アクセスでき、室内と屋外がつながる気持ちのよい空間になっています。

1階には寝室やウォークインクローゼット、水まわり、広い玄関土間を配置。
アウトドア用品や自転車の収納・手入れもしやすくしました。

性能面では、床下や天井に断熱材を充填し、気流止めを行ったほか、窓や玄関ドアも断熱仕様に変更。
寒さや結露の改善にもつなげています。
https://www.stylekoubou.com/sekou/works/sekou_y63.html
戸建てのスケルトンリノベーション事例② 1階に吹抜けを新設
【築31年|リノベーション面積 約140㎡】

ご両親から受け継いだ実家を、平屋への建て替えも選択肢に入れつつ、最終的にリノベーションを選んだ例。
もともとは玄関から中2階、さらに階段を上がるとLDK、下に降りると居室や水まわりという構成。
日当たりの悪い1階も含め、これから夫婦2人で暮らすには使いにくさがありました。

そこで、新規で階段を掛け、1階の居室をつなげてLDKに。
さらに2階には大きな吹抜けを設け、1階にも自然光が届くようにしました。

栃木で愛用していた薪ストーブも、煙突を吹抜けに沿ってまっすぐ伸ばして設置。
梁や大黒柱をあらわしにするなど、木のぬくもりを感じられる住まいに仕上げています。
性能面では、耐震補強や断熱材の充填、断熱サッシへの交換なども実施。
間取りを変えるだけでなく、住まい全体の性能を高めています。
https://www.stylekoubou.com/sekou/works/sekou_y67.html
完工年月:2021年12月(構造は、自社の検討により安全性を確認している)
戸建てのスケルトンリノベーション事例③ 実家を二世帯住宅に
【築16年|リノベーション面積 約145㎡】

3階建ての実家を、親世帯と子世帯が暮らす二世帯住宅へとリノベーションした例です。
冬は1階が冷え、夏は3階が暑くなるなどフロアごとの温度差が大きく、住まい全体の温熱環境を改善する必要がありました。

ポイントになったのが、家の中央に配置し直した階段です。
階段の位置を変えることで空気が循環し、合わせて熱交換型の換気扇も導入。階ごとの温度差を感じないまでに改善しました。

1階は親世帯として、お母様とワンちゃん2匹が快適に暮らせるようキッチンや水まわりを新設。

2階は子世帯を中心に、家族や友人が集えるLDKや、十分な収納を整えました。

3階では使われていなかったロフトをなくし、屋根面を構造補強。
全ての部位の断熱材を充填し直すとともに開口部はすべて新規サッシ・二重サッシにして断熱化。
この事例では、階段を移動するために構造計算をやり直し、確認申請も取り直しています。
https://www.stylekoubou.com/sekou/works/sekou_t118.html
まとめ
戸建てのスケルトンリノベーションは、間取りを大きく変えられるだけでなく、普段は見えない構造や断熱の状態を確認し、住まいの性能を見直す機会にもなります。事例のようなLDKの移動や吹抜けの新設、二世帯住宅への変更など、暮らし方に合わせて家全体を再構成できるのが魅力です。
一方で、構造や建物のつくりによってはできないこともあり、変更内容によっては確認申請などの手続きが必要になる場合も。特に、耐震性に関わる変更では、構造計算など専門的な検討が欠かせません。
「大切なのは、『古いから建て替える』『もったいないから残す』と単純に決めるのではなく、その家を調べたうえで、どこまで希望する暮らしを実現できるかを考えること」と鈴木プランナー。
スケルトンにすることで、構造や断熱の問題を見つけて直せることもあります。建て替えとリノベーションのどちらが合っているか、まずは建物の状態と、これからしたい暮らしをプロに相談してみましょう。








