WTC(ウォークスルークローゼット)で、風も人も通れるムダのない動線づくり
WTCはその名の通り、複数の入り口を設けて通り抜けができるようにした収納。双方向に風が通るため通気性に優れ、家事動線、身支度動線をつくりやすいのがメリット。移動と収納を兼ねることで、スペースの限られたマンションでも、ムダのない間取りが叶います。今回は、WTCの事例を間取りとともにご紹介します。
※WTCはWICの一種であるため、間取図上ではWICと表記されている場合もあります。
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目次
- 身支度をラクに!王道は寝室とリビングをつなぐWTC
- 寝室同士をつないで、家族それぞれが使いやすいWTC
- 衣装持ちの家族に、寝室からも廊下からも入れるWTC
- キッチンから寝室へ。生活動線を重ねた合理的なWTC
- 3つの場所をつなぐWTCで、マルチアクセスを可能に
- まとめ
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身支度をラクに!王道は寝室とリビングをつなぐWTC
WTCの場所として最も多いのが、LDKと寝室の間。寝室で目覚めて、クローゼットで着替えてリビングに出ることができます。また、バルコニーで干した洗濯ものをリビングでたたみ、クローゼットへしまう、という洗濯動線もスムーズです。いくつか事例を見てみましょう。
リビング側はルーバー引き戸で、寝室側はカーテンでふんわり
玄関を入って突き当たりにLDKという間取りでは、通常は廊下から個室にアクセスすることになります。
間にWTCをつくることで、LDKから直接寝室に行くことが可能に。
キッチン奥は洗面室からバスルーム、廊下へと抜ける動線。
WTCは写真の右側のルーバー扉で、通気性も確保しつつプライベートな場所を目隠ししています。
奥はこんな感じで、寝室側はカーテンでゆるく仕切りました。
両サイドにたっぷり洋服をしまうことができます。
この写真の事例詳細はこちら:事例No.931 光と風とともにとともに心地よく、自分らしく
海外ドラマのクローゼットみたいに、好きなクロスで彩って
同様にリビングから寝室に抜けるWTC。
こちらのおうちはWTCの入り口を対面キッチンの隣にしました。
リビング側からはWTCの入り口は見えません。
内部はお客様からの要望で、ドラマチックなティファニーブルーのクロスを採用。
天井を上げて現しにして、上部にはサーフボードを置ける棚もつくりました。
この写真の事例詳細はこちら:事例No.906 “趣味”に合わせて大改革!
L字型につくったクローゼットの寝室側をワークスペースに
アイランドキッチンのあるLDKから、寝室までをWTCでつないだ例です。
まっすぐではなく内部をL字型にして、収納量を増やしました。
L字型にすることでできたスペースの寝室側は、オープン棚を造作しワークスペースに。
オンライン会議や集中したいときは、ロールスクリーンを下ろすこともできます。
リビング側はこんな感じで、右側の引き戸がWTCの入り口。
引き戸は板張りの壁と同素材で空間に馴染ませました。
この写真の事例詳細はこちら:事例No.912 遊ぶ!くつろぐ!わが家のキャンプサイト
寝室同士をつないで、家族それぞれが使いやすいWTC
リビング側と奥の寝室側で、引き戸の種類も使い分けて
続いては、寝室と寝室の間にWTCをつくった例です。
リビングから寝室①→WTC→寝室②と通り抜けが可能で、フロア全体に風が通ります。
リビング側は、風が通りやすくデザイン性も高いルーバー扉の引き戸を採用。
玄関側の寝室とクローゼットの間は、シンプルな白い引き戸にしました。
WTC内部も一方を扉付き収納とすることでスッキリ。
手持ちのタンスがぴったりに納まるように計算しています。
この写真の事例詳細はこちら:事例No.873 穏やかな時間が流れる 大人ナチュラル
衣装持ちの家族に、寝室からも廊下からも入れるWTC
すべての収納が廊下につながるウォークスルーに
収納が足りず、室内にものがあふれている状態を解消したい、というお客様。
シュークローク、パントリー、WTCと大収納を設けてスッキリ暮らせるようにしました。
各収納は廊下につながっており、取り出す&しまうがスムーズです。
寝室側のクローゼット入り口はロールスクリーンで仕切れるようにしました。
こちらはWTCの内部。
お洋服をたくさんお持ちのご家族のために、ハンガーがかけられるバーもたっぷり設置しました。
この写真の事例詳細はこちら:事例No.877 3世代の暮らしにくつろぎと心地よさを
キッチンから寝室へ。生活動線を重ねた合理的なWTC
収納と水まわりを間取りの中心に集約して暮らしやすく
キッチンの奥に冷蔵庫や調理家電が隠せるパントリーをつくり、そこからWTCへと動線をつなげた例です。
キッチンから寝室までまっすぐ、風と光が通ります。
こちらが寝室側。
WTCの入り口は扉を設けず、間口の広くすることで空間に伸びやかさをプラス。
コンパクトなスペースでも圧迫感なく過ごすことができます。
この写真の事例詳細はこちら:事例No.899 美しく暮らす
3つの場所をつなぐWTCで、マルチアクセスを可能に
最後にご紹介するのは、3か所から出入りできるWTC。
ある程度の広さがあれば、家全体の動線を増やせるため、より暮らしやすくなります。
変則的な間取りを回り込まなくても移動できるように
マンションの2戸をつないでひとつの住戸にしたおうち。
やや変則的なかたちのためデッドスペースも多く、広さが暮らしやすさにつながっていない点が課題でした。
そこで、洗面室の正面に大容量のWTCを新設。
WTCの奥はワークスペースで、そこからリビング・ダイニングに抜けることができます。
この写真の事例詳細はこちら:事例No.922 間取りもインテリアもブラッシュアップ
メゾネットの階段下スペースを利用してWTCに
メゾネットタイプのマンションで、1階にLD、書斎、寝室につながるWTCをつくった例。
間取りの中央付近で、廊下のような役割も果たしています。
階段下スペースを利用しているため、天井が一部勾配天井に。
家族の衣類がたっぷりしまえて、家事動産の短縮にもつながりました。
この写真の事例詳細はこちら:事例No.939 ヴィンテージマンションで快適に住まう
まとめ
大容量で使いやすいWTCは、マンションを中心に導入例が増えてきました。間口の仕切り方はさまざまですが、デザインと実用性を重視するなら、今回の事例にもあったルーバー扉がオススメ。軽やかさを重視するならカーテンやロールスクリーン、いっそのことオープンにするという方法も。採用したい場所や予算、ライフスタイルに合わせてご検討ください。