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前提を覆すプランニングでも「ウチならできる」 〜T様邸 Vol.2〜

2025年04月28日(月)

リノベーションにおける住む人や作り手のストーリーをより深く掘り下げる「リノベ密着レポート」。
今回はご実家をリノベーションして2世代同居を決めたT様ファミリーに密着。Vol.2は場所をスタイル工房浜田山店に移し、チーフプランナーの鈴木と設計担当の高木に、リノベーションにあたっての課題やプランのポイントを聞いてきました。

◆今回の登場人物◆ 

鈴木(チーフプランナー)・・・一級建築士、スタイル工房チーフプランナー。T邸プロジェクトのメインプランニングを担当

高木(設計室 リーダー)・・・一級建築士、スタイル工房設計室リーダー。T邸の設計担当として今回、構造計算や確認申請業務を担う

「最初から、階段の架け替えには何の迷いもありませんでした」

———今回、リノベーションをすることに決めたきっかけはどのようなものでしたか?

鈴木● 息子さんご夫婦と同居するために、1世帯仕様だった建物を2世帯が同居できるようにしてほしいとのことでした。そこで、1階をお母様であるT様、2階と3階を息子さんご夫婦のための居室としてゾーニングしました。

———まずは1階の親世帯について、プランニングのポイントを教えてください。

鈴木● T様とお話していて「ムダなものは一切不要」という考え方をされていると感じました。今回、水まわりもそれぞれにつくりましたが、「本格的な料理がつくりたい時は2階のキッチンを使うから、1階は最低限のものでいい」という感じで。

そこで、愛犬たちと過ごしたり、ご友人が呼べるゆとりを備えつつ、コンパクトでも広さを感じるつくりに。温度管理と防音に配慮して、階段1階の入り口にドアを設けています。

———まずは1階の親世帯について、プランニングのポイントを教えてください。

鈴木● 2階はもとからLDKのあったフロアですが、北側にあったキッチンを南側に移しました。廊下や収納、水まわりをはさんで北側にご夫婦の寝室。あまりひねらず「こうすれば暮らしやすい」から考えた自然な間取りにしています。

息子さんのご要望で回遊できるようにしたりと、若干の変更はあったものの、ファーストプランから大きくは変わっていませんね。階段で分断されていた間取りを、階段を架け替えることでスムーズに生活できるようにしました。

———まずは1階の親世帯について、プランニングのポイントを教えてください。

鈴木● T様のご希望は階段を移動しないと叶わないものだったので、階段を架け替えることには最初から何の迷いもなかったです。最初の現地調査のときにもT様は「この階段の位置で家が使いにくい」というお話をされていましたし。

3階建ての階段架け替えリノベーションには建築確認の再申請が必要になるため、プランニング前の早い段階で設計室に相談していましたね。うちの設計室、工事部ならできるはず、という思いでした。

工事中の風景

建築確認の再申請にあたって、実行したこと

———かなり早い段階からプランナーから設計室への相談があったとのことですが、通常はどうなのでしょうか。

高木● 耐震リフォームの場合などは、プランニング前の段階で相談を受けることはあります。しかし通常は、できたプランが法的に適合しているかどうか、すり合わせをおこなう段階で入ることが多いですね。

———かなり早い段階からプランナーから設計室への相談があったとのことですが、通常はどうなのでしょうか。

高木● 「ハードルは高いけれど、できないことはないと思います」という感じでしょうか。これまでも構造の架け替え工事の経験があったのと、T様邸は築年数が比較的浅いことから、完工図書や構造計算書が残っていたので。建てたときの構造図は残っていても、計算書までは建築主の手元に渡らないことも多いのですが。

———建築確認申請の再取得にあたり、具体的にどのようなことをするのですか。

高木●まず、実際の施工状況が既存の構造計算書通りになっているかを確認します。そのうえで希望するプランに適合するように構造計画を設計。設計図書や構造計算書などの書類をすべて揃えて、確認検査機関に提出します。

それらをもとに、構造や間取りだけでなく接道や斜線制限など全項目に対して、現行の法規制を満たしているかが審査されます。ここは新築と全く同じですね。

———新築とは違った「リノベーションならではの難しさ」はありますか?

高木●建築時の構造設計者がどのような考え方のもと、どのような構造計算をおこなったのかという意図を汲み取るのが難しいです。使っているソフトも違うし、今のやり方に当てはめつつ整合性をとらなければいけないので……。

法適合、T様の要望、暮らしやすさ。すべてを叶えるために

———階段の架け替え以外では、どのような点が変わっていますか?

高木●階段だけでなく、柱と梁も架け替えています。今回、間取りをガラリと変えたことで、構造体からつくり直す必要があったためです。3階は暑くてつかっていなかったというロフトをなくして、天井レベルの構造を組みなおし強度を上げています。

鈴木●1階はもともと採光が足りなくて、建築基準法上は納戸扱いだったんです。そこに窓をつくって光を取り込み、居室として住めるようにしました。奥まっていた階段の上り口も、玄関側に移したことで各部屋が広々とつながり両世帯へのアクセスもしやすくなっています。

さらに、もとはオール電化でしたが、ガスの引き込み工事をおこなっています。2世帯としては電力が足りなくなったのもありますが、電気代が高騰しているため、ガスも含めたライフラインが合理的だろうという判断です。

———T様から「前の家は寒かった」というお話がありましたが、断熱性能もかなり改善したのでしょうか。

高木●UA値を0.5 W/㎡・Kまで断熱性能をあげているので、快適に過ごせるはずです。断熱等級でいえば5と6の間くらいですね。2030年に義務化されるZEH水準よりも高い断熱性能です。

鈴木●住宅性能を向上させることと、生活がスムーズな間取りにすること。そのために構造からつくり直す必要があったことで設計や申請の難しさ、煩雑さはあったものの、目指したものはいつもと同じ。T様ご家族の暮らしやすさですね。

 

難しいかな?と思われたケースも「うちの設計室、工事部だったらできる」「どんな時でもそれは疑っていない」と鈴木プランナー。チームでつくりあげたT邸のリノベーションをさらに掘り下げるべく、次回は工事部にもお話を聞いてみたいと思います。

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