【プランナー監修】パントリーとは?リフォームのコツやメリット・デメリットが知りたい!
モノがあふれがちな場所といえば、やっぱりキッチン!防災面でもストックは欲しいし、便利な調理家電、ステキな食器など置きたいものがたくさん。パントリーがあればいいのに…という方のために、パントリーの基礎知識からリフォームでパントリーをつくるときのポイントまで、プロに聞いてきました。
鈴木
一級建築士、スタイル工房チーフプランナー
お施主様と綿密なコミュニケーションを取りながら問題を解決、マンション・戸建て共に数多くのリノベーションに携わってきた。
――――――――――――――――
目次
- パントリーとは?リフォームでつくる人は多いの?
- パントリーリフォームのメリット・デメリットは?
- リフォームでパントリーをつくるコツと注意点は?
- パントリーリフォーム事例①|コンパクト&機能的に
- パントリーリフォーム事例②|回遊動線で使いやすく
- まとめ
――――――――――――――――
パントリーとは?リフォームでつくる人は多いの?
「もとは厨房用語ですが、住宅ではキッチンまわりの収納のこと」
パントリーとは、もともとホテルやレストランで厨房と客席の間でドリンクやデザートを用意したり、料理を盛りつけたりする配膳室を指す言葉でした。
「住宅では、キッチンに隣接した収納をパントリーと呼びます。ウォークインクローゼットのように独立したものや、キッチンの一角にあるちょっとした収納庫ですね。
最近のリフォームではとても人気が高く、7割ほどの方からリクエストをいただきます。特に、オープンなアイランドキッチンにリフォームする場合は、必須といっても過言ではないほど」(鈴木プランナー 以下同)。
おうちによっては、冷蔵庫もパントリーに収めてしまうことも多いのだそう。確かに、大きな冷蔵庫はダイニングからもよく目立ちます。冷蔵庫を隠すことができれば、生活感がぐんと軽減されますね。
「戸建てに限らず、マンションでもパントリーをつくる人は増えていますよ。スペースが限られているからこそ収納を集約させることで、モノの出ないすっきりした空間が叶います」
パントリーリフォームのメリット・デメリットは?
「整理整頓できる反面、見せる収納はコツが要るかも」
キッチンには背面収納や吊り棚もあるし、パントリーって必要?という意見もあるかもしれません。ココで、パントリーのメリットとデメリットを聞いてみましょう。
「メリットはまず、圧倒的な収納量。パントリーに冷蔵庫を入れることもできるというお話をしましたが、最近増えているのがセカンド冷蔵庫やセカンド冷凍庫をお持ちのご家庭。食品のストックがたくさんできるので、毎日買い物に行かなくてすみますね。
また、お酒をケースで買う方や、調理家電をたくさんお持ちの方もパントリーがあると便利なはず。他には、分電盤やWi-Fiルーターなどをパントリーに隠して収納したいというご要望もあります」
メリットばかりのパントリーですが、デメリットはあるのでしょうか?
「やはりそのためのスペースが必要なこと、でしょうか。しかし、回遊動線にしてパントリーと廊下を兼ねるような間取りにするなど、間取り全体で工夫はできます。
他には、扉を付けてしまうと使いづらいためオープンにすることが多いのですが、入り口付近はダイニング側からも少し見えてしまいます。収納ボックスなどを使ったり、キレイに見せるにはコツが必要かもしれません。気になる方は、来客時などは隠せるようにロールスクリーンを設置することも」
リフォームでパントリーをつくるコツと注意点は?
「パントリーに入れるもの・しまうものをしっかり決めて」
パントリーに限らず、収納にしまいたいものと出しておきたいものは、打ち合わせの初期の段階で必ずヒアリングするそうです。
「最も大きいものは冷蔵庫ですね。他の家族も頻繁に使うのであればダイニングに近い方が便利なので、パントリーには入れないことも。お客様のライフスタイルによって変わります。
打ち合わせでは、置きたいものをシートに記入していただいています。あとは買い出しの頻度もお聞きしていますね。置きたい家電は品番を教えていただいたり、現地調査でサイズを測っています」
最も大切なことは、「買い物前にサッと見てストックを把握できること」と鈴木プランナー。そのため棚板に奥行きはつけず、収納しているモノが把握しやすいつくりを心がけているそう。
「あとは、プラン全体とも関わってきますが、家事動線がスムーズになる位置にパントリーをつくることですね。買い物帰りに玄関からパントリーを通ってキッチンに出られるようにしたり、他の収納や水まわりに通り抜けられるようにしたり」
実際の事例を見てみましょう!
パントリーリフォーム事例①|コンパクト&機能的に
戸建て|キッチンの奥につくり、冷蔵庫も収納
夫婦おふたりでゆったり立てる壁付けキッチンで、ダイニング側にも古材でカウンターを造作した例。
パントリーは突き当たりにつくり、冷蔵庫も収納しています。
パントリーの内部の棚はDIYで取り付けたもの。
高さを替えられる棚にカゴを組み合わせて、美しく収納しています。
https://www.stylekoubou.com/sekou/works/sekou_y60.html
戸建て|アイランドキッチンをすっきりと
リビング・ダイニングと垂直に位置するアイランドキッチン。
たっぷりの背面収納に加えて、パントリーもつくりました。
冷蔵庫はパントリー内部ですがドア側をキッチンに向けて使いやすく。
内部も食品のストックなどが機能的に収納されています。
https://www.stylekoubou.com/sekou/works/sekou_h43.html
パントリーリフォーム事例②|回遊動線で使いやすく
マンション|アール垂れ壁をインテリアのポイントに
Ⅱ型キッチンの隣に、キッチンとリビングを回遊動線でつないだ例。
冷蔵庫はパントリーに入れずにキッチンの手前側に置きました。
リビング側から見ると、パントリーのアール垂れ壁がインテリアのアクセントになっています。
内部からはこんな感じ。
お買い物帰りも、キッチンを回り込まずにパントリーや冷蔵庫にアクセスできますね。
https://www.stylekoubou.com/sekou/works/sekou_k80.html
マンション|パントリーを水色のクロスで彩って
こちらもⅡ型キッチンの例。
コンパクトで動きやすいため、マンションを中心に採用例が増えています。
コンロの横に壁を立ててその奥に冷蔵庫、さらに奥がパントリーという配置。
先ほどの例と同じく、パントリーを通り抜けてダイニング側に回遊できます。
リビングから見ると、パントリーのブルーのクロスが優しい雰囲気。
入り口も角が丸くなっており、空間のイメージに合わせています。
https://www.stylekoubou.com/sekou/works/sekou_m50.html
戸建て|リビングと水まわりを3WAY動線でつなぐ収納
キッチン横からまっすぐ進むと洗面、左に曲がるとリビング側に抜けられるパントリーです。
奥の白い引き戸はバスルームの洗面脱衣室につながっています。
リビング側は斜めの壁とアシンメトリー入り口のカタチで印象的に。
内部はロールスクリーンで隠すこともできます。
壁を立ててキッチン側には調理家電を、リビング側には雑多なもの、洗面室のストックなどもここにしまえます。
パントリー兼、フロア全体のウォークスルー収納の役割をもたせています。
https://www.stylekoubou.com/sekou/works/sekou_m97.html
まとめ
「調理家電など、パントリー内でそのまま使うことを想定しているのであれば、電源も十分に設けておきましょう」と鈴木プランナー。最近は炊飯器もパントリーに入れてしまう人が増えているそうで、その場合は蒸気で造作や収納物が傷まないよう配慮が必要です。
つくってよかった!の声が多いパントリー。リフォーム前に、ぜひキッチンまわりの持ち物や動線を振り返ってみましょう。たくさんの事例から、広さや家族構成が近そうなおうちをチェックしてみるのもオススメです。