【プランナー監修】マンションの最上階が暑い!リノベーションで暑さ対策はできる?
気象庁によると、2025年夏は統計開始以来最も暑い夏を記録したそう。エアコンをつけていても効きが悪く、住まいの断熱性能が気になりだした方も多いかもしれません。特にひどいといわれるマンション最上階の暑さは、リノベーションで解決可能なのでしょうか?リノベーションのプロに聞いてみました。

一級建築士、スタイル工房チーフプランナー 鈴木
お施主様と綿密なコミュニケーションを取りながら問題を解決、マンション・戸建て共に数多くのリノベーションに携わってきた。
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目次
- マンションの最上階はなぜ暑い?購入はやめた方がいい?
- 最上階が暑い場合、リノベーションでどんな対策が可能?
- 暑さ対策リノベーションの注意点!マンション以外でも必要?
- マンション最上階の暑さ対策事例① 変形間取りを快適に
- マンション最上階の暑さ対策事例② 天井+内窓で断熱性UP
- まとめ
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最上階が暑い場合、リノベーションでどんな対策が可能?
マンションの最上階の部屋を相続したり中古で購入した場合、もしくはすでに住んでいて暑さ寒さが気になる場合は、どのようなリノベーション工事を行うべきでしょうか?
「熱は上にたまる性質があるため、最上階の暑さ対策には天井部分の断熱工事が欠かせません。天井表面の石膏ボードをはがして躯体との間に断熱材を入れて、再び石膏ボードなどで覆う工事が一般的ですね。
断熱材は、厚ければ厚いほど断熱性能は上がります。でも、あまり厚くすると天井が下がってしまうため、もとからある10cmほどの隙間に充填することがほとんどです。
たまに『天井を下げてでも断熱材を厚くしてください』というご希望はいただきますが、それでも2,350~2,400mmほどの天井高は確保することをおすすめしています。
合わせて、熱の出入りが大きい窓を2重サッシにしたり、内窓を設置する工事も同時に行います。断熱工事に対して国、自治体からの補助金を獲得できることが多いため、ほとんど全てのお客様がなんらかの断熱工事をしていますよ」
暑さ対策リノベーションの注意点!マンション以外でも必要?
補助金が出るのは嬉しいですね!ぜひお願いしたいところですが、マンション最上階の断熱リノベーションにおいて、注意点などはありますか?
「お話したとおり天井に断熱材を入れるので、天井のコンクリート躯体を現しにするリノベーションはできません。
また、高気密ダウンライトを導入する必要があるため、これまでのダウンライトを再利用することができなくなることもあります。高気密ダウンライトとは、天井と器具の間の隙間をパッキンなどでふさいだものです」
ちなみに、マンションだけでなく戸建ても天井断熱が必要なのでしょうか?
「戸建ての場合も、築年数が古い物件には断熱工事は必要です。やはり2階、3階と上にいくほど暑く気密性が高まると換気設備も必要になり、熱交換型換気扇の併用も含めた、階ごとの温度差を小さくする工事を施すこともあります。天井断熱工事のやり方は、基本的にマンションと同じですね」
なるほど!それでは実際に、最上階で暑さ対策も含めたリノベーションを行った事例を見てみましょう。
マンション最上階の暑さ対策事例① 変形間取りを快適に
【築38年|リノベーション面積 約97㎡】

中古で購入されたマンションの、最上階にある2戸をつなげて4人家族でお住まいのご家族。
購入当時にリノベーションしたものの、への字型の間取りはデッドスペースも多く、使いづらかったそう。
そこで、キッチンの背面にあった居室をLDKに取り込み、東西2つのバルコニーをいかして大空間に。

天井にグラスウールを入れて断熱も施し、住宅性能もしっかり向上。
補助金も使いながら、賢く、快適でデザインにもこだわった住まいを手に入れました。
https://www.stylekoubou.com/sekou/works/sekou_k130.html
マンション最上階の暑さ対策事例② 天井+内窓で断熱性UP
【築41年|リノベーション面積 約47㎡】

以前もスタイル工房で中古マンションのリノベーションをされたお客様。
転勤のため東京を離れていましたが、戻ることになり、再び中古購入とリノベーションを計画されました。

購入したのは築41年のマンション最上階。
床や天井、間仕切りを一掃したスケルトンリノベーションで間取りを一新。
壁と天井に断熱材を充填し、すべての窓にインナーサッシを設置して断熱性能も大幅にアップしています。
https://www.stylekoubou.com/sekou/works/sekou_k127.html
まとめ
「もしマンション最上階で暑さが気になったら、まずは一度ご相談ください」と鈴木プランナー。「現地調査によって必要な断熱工事を判断し、断熱以外の間取りやデザインについてもプランニングさせていただきます」とのことです。
近年の地球温暖化などの影響で、来年以降も猛暑になる可能性が高いといわれています。国や自治体の補助金は予算上限が設けられており、予算上限に達すると終了してしまいます。最上階に限らず、住まいの断熱を検討されている方は、スケジュールに余裕をもって動くことをオススメします。








